
目次
【こんな人におすすめ】
この本は、「BtoBマーケティングって何から始めればいいの?」 という悩みを持っている人にとって、 まさに「道しるべ」になる一冊です。
具体的に、以下のような人に強くおすすめします。
- BtoB企業のマーケティング担当者で、 「リードや商談は増えているが受注につながっていない」と悩んでいる人
- テレアポや展示会中心の営業から、 Webを活用したインバウンドマーケティングへ移行したい人
- MAツールを導入したものの、 活用方法がわからず放置している人
- 競合の参入でCPAが高騰し、 受注率が低下している状況に焦っている人
- マーケティング初心者で、 理論だけでなく「現場で使える型」を知りたい人
- 営業とマーケティングの連携がうまくいかず、 組織横断的な対策が必要な人
「BtoBマーケティング=難しい」というイメージを持っている人も、 この本は読みやすいので安心して手に取れます。
理論だけでなく、実際の企業の課題や成功例を11の事例で解説しており、 「あ、これウチでもあるある!」という共感が繰り返される設計です。
【はじめに】
本書の著者栗原康太さんは、 BtoBマーケティングの現場で豊富な経験を持つ「才流」の代表。
株式会社ガイアックス入社後、BtoBマーケティング支援事業に携わり、 事業部長および経営会議メンバーを歴任。 2016年にBtoB営業支援および新規事業コンサルティングを提供する 株式会社才流(SAIRU)を設立し、現在代表を務めています。
本書は、同社のBtoBマーケティング支援における試行錯誤の結果、 蓄積した知見を初めて書籍としてまとめたものです。
もともと栗原さんは、2020年にKindleで 『BtoBマーケティング虎の巻』という電子書籍を出版しており、 そこで紹介された「シンプルだが効果的なアドバイス」を、 実際に実行したマーケティング担当者がCVRを5倍に伸ばした という実話も、この本の背景にあります。
本書は、その『虎の巻』をさらにブラッシュアップした 「書き下ろしの実践書」です。
【要約】
1. BtoBマーケティングって何?
本書の大前提は、 「BtoBマーケティングは、 「どうやって営業に商談しやすい見込み顧客を渡すのか」 ということに尽きる」という考え方。
すべての施策は、 そこに向かって動かなければなりません。
BtoBマーケティングの特徴として、
- 検討期間が長く、年単位の時間がかかる場合もある
- 複数の意思決定者が関わることが多い
- 商品・サービスが複雑で、説明が必要なことが多い
- 信頼関係が非常に重要
といった点が挙げられています。 これらは、BtoCマーケティングとは大きく異なる点であり、 戦略を設計する際に必ず考慮する必要があります。
2. 営業とマーケティングの連携がカギ
多くのBtoB企業で、 営業とマーケティングの連携がうまく取れていないのが現状。
典型例は、
- マーケティングは「リード数・商談数」を重視する
- 営業は「受注数・売上」を重視する
- お互いのゴールがずれていて、 Elle が「商談の質」に対して認識が異なる
本書では、 インサイドセールスや営業現場との連携の重要性を繰り返し語っており、 組織横断的な取り組みのヒントが満載です。
「営業に渡す商談を、ただ量で増やすのではなく、 質を高める仕組みを作る」ことが、 BtoBマーケティングの成否を分けます。
3. CVポイントからの逆算と「階段設計」
本書の最も重要なコンセプトが、 「CVポイントからの逆算」と「階段設計」です。
CVポイントとは
CV(Conversion)ポイントとは、 「顧客が次に動くべきポイント」のこと。
例えば、
- Webサイト訪問 → メールマガジン登録 → 資料請求 → 商談 → 受注
- Facebook投稿 → Website訪問 → 比較記事閲覧 → 問い合わせ
など、顧客がたどるべき「次のステップ」を明確に定義し、 そこから逆算して戦略と施策を考えるという考え方。
階段設計とは
「階段設計」は、 見込み顧客との関係を、段階的に築き上げる設計のこと。
従来のBtoBマーケティングでは、
- テレアポや展示会でいきなり「商談」を誘う
- Webサイトでいきなり「お問い合わせ」を促す
といった「いきなり行動」を促す施策が多かった。
一方、本書では、 「Web上で見込み顧客とのコミュニケーションを段階的に行う」 ことを推奨。
見込み顧客との関係をしっかりと築いた上で、 お問い合わせや商談を増やすようにすることで、 受注の確率が高まります。
商談前に顧客が「買いたい」と思う状況をつくることが、 Webマーケティングの成功を左右する、というのが本書の主張。
4. LTVを強化する:マーケティング投資の前に
「マーケティングにお金をかける前に、 まずLTV(顧客生涯価値)を高めるべき」 というのが、本書の重要な視点。
LTVが高まれば、
- 同じ獲得コストで、より大きな収益が見込める
- マーケティング投資の効率性が向上する
- 長期的な成長の土台が築かれる
ことになります。
LTVを高めるためには、
- 製品の品質・価値を高める
- 顧客継続率(リテンション)を上げる
- 顧客との関係性を深める(カスタマーサクセスなど)
といった「プロダクトへの関わり方」が重要。
マーケティングだけで売上を伸ばすのではなく、 「製品・サービス自体の強さ」をベースに戦略を設計する考えです。
5. 11のケーススタディ:現場のリアルな課題
本書の本格的な内容は、 11のケーススタディです。
それぞれのケースでは、
- 「リード数や商談数は増えているが、受注につながらない」
- 「MAツールを導入したが、活用できていない」
- 「競合の参入でCPAが高騰し、受注率も低下」
- 「コンテンツマーケティングに投資したいが、どこから手をつければいいか分からない」
といった、 「ベンチャーっぽい悩みから大企業ならではのあるある話まで」、 企業の成長フェーズそれぞれでマーケティング担当組織が抱える 典型的課題が網羅されています。
各ケースでは、
- 課題の背景と現状
- 栗原氏が企業にアドバイスした具体的な施策
- 結果としてどう変わったか(数字や変化)
が詳しく記載されており、 「失敗事例も含めてリアルな現場の声」が印象的です。
事例は全体的にIT企業に基づいているため、 特にSaaS・ソフトウェア・ITサービスのマーケ担当には 刺さりが強い構成。
一方で、製造業や传统業のBtoB企業でも、 「全体設計」や「階段設計」の考え方を応用すれば、 そのまま使えるノウハウが盛り込まれています。
6. 施策の優先順位:「全体設計」から考える
多くのマーケティング担当者が陥るのは、 「施策単体でとりあえず実行する」アプローチ。
本書では、
- (1)取りうる施策のバリエーションを増やすこと
- (2)顧客の検討段階にふさわしい施策を当てはめること
この2つの関係を整理し、 特に(2)を意識した「実行すべき施策の優先順位付け」が重要と説きます。
「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」状態ではなく、 「全体設計」から売れる仕組みを考える姿勢が、 成果を出すための鍵。
7. オンライン・オフライン両方のチャネル活用
BtoBマーケティングでは、 Web上のオンライン施策だけでなく、 オフラインの施策も重要な役割を果たします。
オンライン・オフラインの両方をどのように組み合わせ、 「見込み顧客の検討段階」に合わせて使い分けるか。
本書では、
- Webサイト・オウンドメディアでの情報発信
- メールマガジン・LPでのCVポイント設計
- 展示会・セミナー・サロンでの対面での関係構築
- 営業・インサイドセールスとの連携
といった、 オンライン・オフライン両方のチャネル活用方法も詳しく解説。
8. 論理と図解で「型」を身につける
本書の大きな特徴は、 「理論だけでなく、図解で型を身につけられる」 ということです。
50点以上の図表が収録されており、
- CVポイントの設計図
- 階段設計のイメージ図
- 施策の優先順位付けのフレーム
- 営業とマーケティングの連携の仕組み図
など、 現場で使える「型」が視覚的に理解できます。
専門用語は、 難しい言葉を使わず、丁寧に補足されているので、 マーケティング初心者でもスラスラ読める設計。
「BtoBマーケティングの型」を身につけたい人にとって、 「手元に置いて何度も読み返したい一冊」 として評価されています。
【感想】
この本を読んで、 「BtoBマーケティングで成果を出す」には、 「施策をたくさんやる」ことではなく、 「全体設計から段階的に顧客を育てる」ことが重要だと、 改めて強く感じました。
特に印象に残ったのは、 「CVポイントからの逆算」と「階段設計」の考え方。
「Web上で見込み顧客とのコミュニケーションを段階的に行う」 というアプローチは、 一般的な「いきなり商談・問い合わせを促す」施策とはまるで違い、 「買いたい状態」を事前に作る視点の重要性を気づかせてくれました。
また、 「LTVを高めるために、まずプロダクトに関わる」 という視点も、 マーケティング担当者として「売上・CV」だけを追うのではなく、 「製品・サービスの強さ」をベースに考える姿勢を 意識させられるものでした。
11のケーススタディは、 「あ、これウチでもあるある!」という共感が多く、 「失敗事例も含めてリアルな現場の声」が、 まさに自分の会社や課題に引き寄せながら読める構成。
図解が多くてわかりやすく、 専門用語も丁寧に補足されているので、 「BtoBマーケティング初心者」でも、 「理論だけでなく、現場で使える型」を身につけられる本。
「何から始めていいかわからない」「成果が出なくて悩んでいる」、 そんなマーケティング担当者・営業・経営層にこそ、 ぜひ読んでほしい一冊です。