
『消費される階級』(酒井順子)書評ブログ
「差別や格差を無くして、みんなが横並びで生きていこう」――そんな理想が叫ばれる現代日本。しかし、私たちの社会から本当に“階級”は消えたのでしょうか?
酒井順子さんの新刊『消費される階級』は、誰もが「どこかで感じているけど、言葉にしづらい」日本社会の“見えない階級”を、鋭く、そしてユーモラスに描き出します。
【こんな人におすすめ】
・日常の中に潜む“格差”や“階級意識”を、重くなりすぎずに考えたい人
・社会の変化や日本人の意識構造に興味がある人
・酒井順子さんのエッセイが好きな方、または初めて読んでみたい方
・「自分はどんな階級にいるのだろう?」とふと思ったことがある方
・気軽に読める社会派エッセイを探している方
【要約】
『消費される階級』は、現代日本に根強く残る“階級意識”をテーマにしたエッセイ集です。
「格差」や「差別」は表向きには否定され、誰もが「平等」を口にする時代。しかし、現実には人々の間にさまざまな“見えない序列”が存在しています。
本書は、全21章で「男高女低神話のゆらぎ」「“親ガチャ”と“子ガチャ”」「東大礼賛と低学歴信仰」「おたくが先達、“好く力”格差」「デジタル下層民として生きる」「超高齢化時代のおばあさん格差」など、身近なテーマから社会の奥底に潜む階級意識をあぶり出します。
例えば、SNSや日常会話での「上か下か」の無意識なジャッジ、趣味や出身校、容姿や年齢、さらには「推し活」や「金融教育」まで、私たちが気づかぬうちに“消費”している階級の数々。
酒井さんは、これらを決して重苦しくなく、むしろ「あるある」と共感しながら、時にクスリと笑える筆致で描いています。
本書の核となるのは、「人は二人いればすぐに上下をつけたくなる生き物」であり、その本能と「みんな平等に」という現代の理想との間にある矛盾。その難題に、私たちはどう向き合っていくのか――。
酒井順子さんは、過去の名著『負け犬の遠吠え』『家族終了』などで時代の空気を鋭く切り取ってきた筆者らしく、現代日本の“階級”を多角的に論じています。
【感想】
読む前の印象と違い、重くない!
「階級」「格差」と聞くと、どうしても重たい社会問題を想像してしまいますが、本書は決してそうではありません。
酒井順子さんらしい“おっとりとした語り口”と、ユーモアを交えた観察眼で、日常に潜む階級の話を肩の力を抜いて読めました。
共感と発見が満載
「まぶた差別と日韓問題」や「陽キャ・陰キャ」など、身近な話題が多く、「ああ、これも階級なんだ」と気づかされることがたくさん。
特に「親ガチャ」「東大礼賛」など、現代の若者文化やSNSの話題も多く、世代を問わず共感できる内容です。
“人間は階級をつけずにいられない”というリアル
本書を読んで一番心に残ったのは、「人はどうしても上下をつけてしまう生き物」という指摘。
「全員が平等に」という理想と、「比べずにはいられない」現実。その矛盾に、私たちはどう折り合いをつけて生きていくのか――。
酒井さんは、決して断罪したり、悲観したりせず、「まあ、そういうものだよね」と、そっと背中を押してくれるような語り口です。
読後感は“ほっとする”
社会派エッセイなのに、読後感は不思議と“ほっと”します。
決めつけや押し付けがなく、「みんな違って、みんないい。でも、比べずにはいられないよね」という、現代人のモヤモヤに寄り添ってくれる一冊。
「格差社会を生きるのが辛い」と感じている人にも、ぜひ手に取ってほしいです。
【まとめ:この本が気になるあなたへ】
「格差」や「階級」という言葉に敏感な現代。でも、実は私たちの身の回りには、見えない“序列”がたくさん潜んでいます。
酒井順子さんの『消費される階級』は、そんな“見えない階級”を、ユーモアと共感たっぷりに描き出すエッセイ集。
重たい気分にならず、むしろ「自分もこの階級にいたかも」と気づき、クスッと笑えて、最後には「まあ、そんなものか」と肩の力が抜ける一冊です。
「社会の中で“比べずに生きる”なんて、やっぱり無理なのかも――」
そう思ったあなたに、ぜひ読んでほしい。
日常をちょっと違う角度から眺めてみたくなったら、『消費される階級』はきっと新しい発見をくれるはずです。
あなたも“階級”の消費者かもしれません。
でも、それでいいんです――。
酒井順子さんの新しい社会観察、ぜひ体験してみてください!