「昨夜のカレー、明日のパン」は、日常の中に潜む悲しみと、それを乗り越えていく人々の姿を描いた感動的な連作短編集です。本屋大賞第2位や山本周五郎賞ノミネートという輝かしい実績を持つこの作品は、ドラマ化もされ、多くの読者に愛されています。
【おすすめ対象】
■こんな人におすすめ
・心温まる物語が好きな方
・人生の悲しみや葛藤をテーマにした作品に共感できる方
・ゆったりとした日常描写を楽しみたい方
【読後感想】
この作品は、一樹という若くして亡くなった男性を中心に、その嫁・テツコと義父・ギフ、そして周囲の人々が織りなす物語です。彼らが「死」を受け入れながらも、日々を丁寧に生きる姿が描かれています。特に印象的だったのは、「人は変わっていく。それは過酷だけど、それだけが人を救ってくれる」というギフのセリフ。この言葉には、生きることへの深い洞察が込められており、読者の心を強く揺さぶります。
また、タイトルにもある「カレー」と「パン」は物語全体を象徴するアイテムとして登場し、人々の生活や心情に寄り添うような役割を果たしています。甘口カレーのように優しく、ときにはほろ苦い味わいが感じられるストーリーです。
登場人物たちが抱える葛藤や悲しみから解放されていく様子は、私たち自身の日常にも通じるものがあります。「それでも生き続ける」というテーマが静かに響き渡る作品でした。
【まとめ】
「昨夜のカレー、明日のパン」は、人生の痛みや喜びを丁寧に描いた作品です。悲しみや葛藤を抱えながらも、それでも前へ進む人々の姿が心に残ります。ゆったりとした文章と温かい描写で、読後にはほっこりとした気持ちになれるでしょう。